食事スタイル

 

最近は日本へも世界中から様々な種類の料理が入ってきていて、食生活はずいぶん変わりました。レストランを選ぶにしても、西洋料理から中国料理、エスニック料理など、非常に多くの種類があり迷ってしまうほどです。このように日本にいても世界の料理を味わうことができますが、やはり海外へ出かけた時にはその土地の料理を食べてみたいものです。海外旅行に行く目的はいろいろありますが、食べることは旅の大きな楽しみのひとつです。ということで、今回は食事をテーマに取り上げてみたいと思います。

 

 

 

西洋の食事では、スープやサラダなどの前菜、魚や肉料理などのメインディッシュ、そしてアイスクリームやケーキなどのデザートというような構成になっていて、それぞれの料理を食べ終わってから次の料理が運ばれる、いわゆるコースといわれる食事形式が一般的です。レストランだけではなく、家庭や学校の学生食堂でも同じです。

 

 

 

それに対し、伝統的に日本では主食のご飯と副食のおかずが一度に食卓に並びます。米を炊いたものを「ご飯」といいますが、食事そのものを指す言葉として、「ご飯」という言葉が使われます。例えば、米そのものを食べなくても「ひるごはん」といいますね。

 

これは日本に限ったことではなく、米を食べる東南アジアの民族の間に共通で見られ、主食である米が食生活の中心で、いかに重要な食べ物とされてきたかということが分かります。

 

その他、太平洋諸島や東アフリカの民族では、穀物やイモ類など炭水化物に富んだ食品を主食とし、他の副食物と区別しています。このような国々では普通、主食はお腹をふくらませるもの、副食は主食を食べるための食欲増進剤の役割を担っています。

 

日本の伝統的な庶民の食事では、ご飯と汁、副食(おかず)というスタイルが一般的でしたが、祭りやお祝いごとなどのごちそうの時でもない限り副食物は一品でした。副食には塩味などをつけて食欲を増し、ご飯を多く食べてお腹を満たすようにしていたわけですね。

 

 

 

さて、今の日本ではパンを食べることも多いのですが、一度の食事でパンとご飯の両方を食べることは普通ありません。つまり、パンはご飯と置き換えられるもの、ご飯の代わりという感覚があります。

 

西洋ではパンは確かによく食べられますが、主食というわけではありません。また、肉料理や野菜料理は、パンを食べるためのおかずでもありません。パンも肉料理も野菜料理も、食事のための1品でしかないものです。この点で西洋の食事は、はっきりと主食と副食で構成される日本や東南アジアの食事形式とは根本的に異なっています。

 

 

 

以前、知人のフランス人の家庭に夕食に招待された時のことですが、料理が完成してさてという時に、パンを切らしていたということに気づき、大騒ぎになったことがありました。パンがなくては、せっかくの料理が台無しだと言っていましたが、西洋においてパンは主食ではなくても、なくてはならない1品とはいえそうです。

 

 

 

いろいろな国の人が乗り合わせる国際線の機内食では、あらかじめ前菜のサラダからデザートのお菓子までプレートの上にすべてそろえられて出されますが、この機内食の食べ方も様々で興味深いものです。

 

西洋人の場合は、まず前菜から食べ始め、それを食べ終えたらメインへ、それが終わればデザートへと1つ1つの料理を片付けながら順番に進んでいきます。でも、日本人はいろいろな料理を少しずつつまみながら全体的に食べていくスタイルの人が多いようです。

 

小さい時から身についている食事習慣は、簡単には変えられるものではないので、同じにセットされたプレートの食べ方にも、人それぞれのスタイルの違いがよく表れてきますね。