韓国

 

今回は、今やとても身近な国となった、お隣の国、韓国を取り上げてみます。

 

 

 顔つきも生活様式も日本人ととても似ている韓国人と接していてふと気づくのは、暮らしの中に今もなお儒教の教えが根強く残っていることです。韓国に儒教が伝わったのは、仏教より古いと言われていますが、今なお儒教は社会においても家庭においても、浸透して生き続けています。

 

 儒教の教えの一つに目上の人を敬うということがありますが、たとえば電車やバスの中では、誰もが年上の人に対して、とても自然にさっと席を譲っているのがわかります。また、たとえ親しい間柄であっても、目上の人の前ではタバコを吸わないようにしていますし、目上の人の前でお酒を飲む時には、グラスを手で隠すようにして、横を向いて飲みます。この儒教のおかげで、家族の絆、先輩後輩の絆、友人の絆がとても強いように思います。

 

 年齢が1歳違うだけでも大変なことなので、初対面の時にはお互いの年齢がわかるまでは多少窮屈な思いをすることにもなります。とはいえ、これをはっきりさせなければお互いの呼び方さえも明確になりません。韓国人女性同士の会話では、よく「お姉さん」という意味の「オンニ」という言葉が聞かれます。本当の姉妹でなくても、年下から年上の女性を呼ぶ時にはいつも使う呼びかけで、「オンニ」と呼ぶことで、親しみと尊敬の念を表すことになりますが、そう呼ばれた方も相手をかわいがり、面倒を見てあげる責任を持つことになるわけです。

 

 

 さて、ソウルを訪れた場合の一つの楽しみにショッピングがあります。以前から南大門市場は特に有名で、多くの外国人が訪れるスポットです。また、東大門市場は南大門とは雰囲気が異なり、現代的ビルの建ち並ぶ、高層ビルファッション街となっていて、観光客だけではなく、多くの市民も訪れています。巨大なビルですが、小売り向けなので店内には小さな問屋がぎっしり詰まっていて、例えば、20階建ての「ミリオレ」には2000もの店舗が入っています。また、朝まで開いていますので、一日の観光が終わってからでも十分楽しむことができます。

 

 この巨大ビル群のふもとには、屋台や露天が群がっています。東大門は屋台でもとても有名です。お勧めの韓国料理はいくらでもありますが、今回はほんの一部だけを紹介させていただきます。

 

 

 韓国風海苔巻き「キムパ」は、見た目は似ていても日本の海苔巻きとは随分違います。酢飯ではなく、海苔の上からはゴマ油が塗られてつやつやしています。また、具として野菜、かまぼこ、ほうれん草、にんじん、錦糸玉子、ハムなど実にいろいろなものが炒めて入れられていることです。味は濃くなりますが、気軽に食べられ、またお腹にも溜まる食べ物としては一番と言えるでしょう。

 

 次に、韓国料理に絶対に欠かせないのはキムチですが、普通キムチというと、唐辛子のたっぷり入った赤いキムチを想像しがちです。ところが、「ムルキムチ」というキムチは、全然辛くありませんので、辛いものは苦手だという方にもぜひお勧めです。ムルとは日本語での「水」という意味です。これは、ニンニクやショウガの香りをつけた塩水に、白菜、セリ、大根を漬け込んだキムチです。また、キムチそのものだけでなく、漬け汁もさっぱりとしていてとても美味しいです。この漬け汁には栄養が詰まっており、身体にもとても良いそうです。

 

 純粋な韓国料理ではありませんが、チャジャン麺もぜひお勧めです。これは、中国料理のジャージャー麺を韓国風にしたものです。細かく刻んだタマネギ、豚肉などが入った黒味噌が麺の上にたっぷりかかっているのですが、この甘い風味がとても美味しいのです。韓国では大人から子供まで、とても人気があるメニューです。韓国でも一般家庭で中国料理店へ料理の出前を頼むことは多いのですが、その中で注文が一番多いのは、このチャジャン麺のようです。

 

 韓国はパスポートこそ必要な外国ではありますが、時間的な面でも費用的な面でも、今や日本国内旅行よりももっと気軽に訪れることができるところかもしれません。