地名のはなし

 

「日本」の英語名は「ジャパン」です。発音から考えると、「日本」と「ジャパン」は一見まったく関係のない感じがしますが、実は「日本」の中国語訛りが「ジャパン」だとも言えるようです。「日本国」は昔の中国では「ジペンクオ」と発音されていましたが、マルコポーロが「東方見聞録」において世界へ日本を紹介した時に、「ジバング」と呼びました。それがやがて「ジャパン」と変わってきたわけです。

 

ということで、今回は、世界の地名にまつわる話しを紹介します。

 

 

 

世界には「土地」や「国」を意味する「ランド」という言葉を、その国名に用いた国がたくさんあります。例えば、「イングランド」がそうですが、これは「アングル人の国」という意味です。

 

「フィンランド」の「フィン」は、「湖沼」を表す古代英語から来ています。「フィンランド」は「湖沼の国」という意味で、国中にまさにその名の通り数多くの湖がある美しい国です。

 

「オランダ」は、地元では「ネーデルランド」と言いますが、これは低地の国という意味です。

 

その他にも「ランド」が国名に付く国は、「スコットランド」、「ポーランド」、「アイスランド」、「グリーンランド」、「ニュージーランド」など数え上げれば切りがありません。

 

 

 

中央アジア、西アジアでは、「パキスタン」、「アフガニスタン」など、国名に「~スタン」がつく国が多いのですが、「スタン」は、ペルシア語で「国、地域」を表す語です。民族名にこの「~スタン」を付けて国名とした国がたくさんあります。

 

ところで、「カザフスタン」、「ウズベキスタン」、「タジキスタン」、「トルクメニスタン」などは、ソビエト連邦崩壊後に生まれた国ですが、別に急に「~スタン」という名称に決めたというわけではありません。これらの国はもともと「~スタン」と呼ばれていたのですが、ソ連時代はイスラム圏への帰属を恐れて、あえてスタンを省略して、「カザフ共和国」、「ウズベク共和国」などとしていただけで、それが元の名前に戻っただけなのです。

 

 

 

英語の「ランド」に相当する言葉は、ラテン語にもあります。「国」や「土地」を意味する「~イア」がそうです。「クロアチア」、「ブルガリア」、「ルーマニア」、「ロシア」、「マレーシア」などは、民族名に「~イア」を付けて国名としたものです。「オーストラリア」の場合は、民族名ではなく、南という意味のラテン語に「~イア」を付けています。

 

 

 

ドイツ語圏においては、「~ブルク」という名前の街が数多くあります。日本人に人気のあるドイツのロマンチック街道には、中世のたたずまいを残す都市が点在していますが、その中の「ヴュルツブルク」、「ローテンブルク」、「アウグスブルク」などは街の名前に「~ブルク」を使っています。その他にも、「ハイデルブルク」、「ハンブルク」、「デュイスブルク」、「フライブルク」、また、モーツァルトを生んだオーストリアの「ザルツブルク」もそうですね。

 

この「ブルク」という言葉は、もともとは「城塞都市」という意味です。日本の城下町のように城の回りには自然に町が発展していくものですが、「ブルク」はやがて町の意味にもなりました。

 

このブルクはフランス語圏にも入っていって、「ブール」へと変化しています。「最後の授業」で有名なアルザス地方にある「ストラスブール」はその例です。「ストラスブール」とは、「街道の町」という意味です。

 

また、英語圏にも影響を与えていて、「エジンバラ」の「バラ」、カンタベリーの「ベリー」、さらには「ピッツバーグ」の「バーグ」なども、この「ブルク」から派生した言葉だと言われています。

 

 

 

社会の授業で、世界の地名を覚えるのはなかなか大変ですが、このようなその名にまつわる由来を知ることで、意外に記憶に残るようになります。ぜひこうした知識を役に立ててください。