色へのイメージ

 

 みなさん、虹の色って何色ですか?

 赤、橙、黄、緑、青、藍、紫とまで、すべての色は言えなくても、7色だということはよく知っていますよね。

 ところが、アメリカ人に聞くと、たいていの人は虹の色が6色だと答えます。藍の色がないのですが、青と藍は良く似た色なので、まとめて青と言っても不思議ではないかもしれません。

 

 また、フランスでは日本と同じく7色ですが、ドイツでは5色だと考えられています。さらに、世界の中には、虹を3色とか、2色という国もあるのには驚かされます。

 

 

 さて、日本では、子供たちが太陽の絵を描く時に、たいていは赤色を使います。日本では赤というイメージの太陽も、アメリカ人やフランス人、ドイツ人に聞くと、黄色と答えます。確かに英語やフランス語の絵本を見てみると、太陽は黄色で描かれています。

 

 ちなみに、ロシアでは日本と同じく赤ですが、世界の中には、太陽の色を白だと考えている国もあります。

 

 

 次にみなさんはりんごと聞いて、何色を思い浮かべますか。おそらく赤色を想像した人が多いのではないかと思います。実際のりんごには、黄色も、緑色のものもありますが、普通には赤だと思います。

 

 ところが、例えばフランス人にりんごの色は何色かと聞くと、決まって緑色でしょうという答えが返ってきます。もちろん、フランスにも、赤や黄色のりんごがあります。りんごは世界中で食べられていますが、国によってイメージする色は様々なようです。

 

 そういえば、「白雪姫」に出てくるりんごは、真っ赤なりんごでしたね。しかし、これはディズニーの漫画の影響であって、原作のグリム童話では全体が真っ赤なりんごではなかったのです。

 

 

 ところで、実際に外国人と話していると、「ちょっとそこにある黄色の○○を取ってくれない。」と言われても、黄色いものが見当たらなかったり、「この前着ていたオレンジ色の○○は良く似合っていたね。」と言われても、オレンジ色の○○なんて持っていなかったりと、色のことで話がすれ違うことがよくあります。

 

 

 特にフランス人と話すと、「黄色」の使い方に驚かされます。例えば、「黄色い靴」というのは、実際には明るい茶色の靴のことです。また、日本で事務用に使う薄茶色の封筒のことを「黄色い封筒」と言います。フランス語での「黄色」は、必ずしも日本人が想像する黄色ではないのです。ちなみに、日本のお隣りの韓国でもこの「黄色」はよく使い、「黄色い封筒」とか「黄色い犬」という表現があります。

 

 

 また、日本人があまり使わないオレンジ色という表現は、英語においてはとてもよく使われます。例えば、「オレンジ色の猫」と聞くとびっくりするかもしれませんが、これは明るい茶色をした猫のことです。日本人なら黄色と言う虎の色も、英語ではオレンジ色と表現します。確かに英語の辞書で虎という単語を引いてみると、「黒い縞が入ったオレンジ色」と説明されています。ディズニーの漫画などでも、赤茶色に描かれています。

 

 

 いろいろな国の子供たちに同時に同じものの絵を描かせたとすると、それぞれが違った色で描き始めるでしょうが、それはとても興味深いことですね。

 

 

 もし外国の絵本を見る機会があったら、そこに描かれている色にちょっと注意をしてみてください。きっと、思いがけない発見があると思います。